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泉佐野市が最高裁で逆転勝訴!除外4自治体はふるさと納税制度復帰へ

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総務省 ふるさと納税
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2019年6月からふるさと納税の指定を外された4自治体がふるさと納税制度に復帰することになりました。
この記事では、復帰の理由やこれまでの経緯についてまとめました。

最高裁が総務省の決定を「違法」と判断

大阪府泉佐野市が、総務省がふるさと納税の対象自治体から外したことを違法として、処分の取り消しを求めた上告審が6月30日に行われました。

最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は、泉佐野市を敗訴とした大阪高裁の判決を破棄し、総務大臣が決定した除外処分を取り消す判決を言い渡しました。

判決では、泉佐野市のほか、和歌山県高野町、佐賀県みやき町、静岡県小山町の4自治体をふるさと納税の対象外(不指定処分)とする根拠となった告示(総務省告示第百七十九号)の2条3号は「違法」であり「無効」であると結論づけました。

この最高裁判決によって不指定処分の無効が確定したため、4自治体がふるさと納税制度に復帰するのは確実になりました。

裁判までの経緯

2017年から、総務省は過剰な返礼品競争を抑止するために、返礼品の割合を3割以下にすることや地場産品に限ること、高額な返礼品は提供しないことなど、自治体に繰り返し要請してきました。

しかし、泉佐野市は総務省からの要請を無視するような対応を続け、高額なAmazonギフト券の還元などを続けます。

そこで、総務省は2019年4月の上記告示(179号)で、ふるさと納税に参加する自治体を指定制とし、基準を満たさない自治体を除外することを発表します。

そして、2019年5月に、泉佐野市はじめ4自治体を告示で示された以下の基準を満たさないものとして制度からの除外を決定しました。

第2条(寄附金の募集の適正な実施に係る基準) ※第1号~第3号のいずれにも該当すること。
第1号 適正な募集方法についての基準
 イ 紹介者に利益供与して募集を行わないこと。
 ロ 返礼品を強調した宣伝広告を行わないこと。
 ハ 適切な選択を阻害するような表現を用いた情報提供を行わないこと。
 ニ 自団体住民に返礼品等を提供しないこと。
第2号 募集経費を5割以下とすること。
第3号 平成30年11月1日から申出書を提出するまでの間の取組により、他の地方団体に多大な影響を与えていないこと。

この中の「第3号」に違反しているという理由で4自治体は除外されました。

具体的には、「昨年11月以降も継続して「返礼割合3割超」かつ「地場産品以外」の返礼品を提供し、更に、11月以降に「Amazonギフト券」等のいわゆる金券類を新たに返礼品に追加して募集を行った団体であって、こうした制度趣旨に反する方法によって、11月から本年3月までの間に、50億円(※)を上回る額を集めた」ことを問題として不指定を決定しました。
(※:※寄附金の募集を適正に行った団体について、最も多くの寄附金を受領した団体の受入額が50億円、平均額が1億円強であることを総合的に勘案)

(引用:ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について

しかし、当初から、これは「法の不遡及の原則に反する」ものではないかという議論がありました。

判断基準として挙げられた平成30年11月当時には、まだ法的拘束力を持つ法律はありませんでした。

そのため、法規制前の実態を根拠として対象から除外したことの是非が問われていました。

泉佐野市はこの決定を不服として、新制度開始直後の6月に国地方係争処理委員会へ審査を請求します。

委員会は検討の結果、総務省に除外決定を再検討するように勧告を出しましたが、総務省は再検討後も決定を変えませんでした。

その総務省の対応を受けて、11月、泉佐野市は総務省を大阪高裁に提訴しました。

しかし、大阪高裁は、泉佐野市の返礼品について「突出して極端なもので寄附という法的枠組みの中で是正すべきだった」として、上記告示によって定められた総務省の基準に関して「裁量権の講師に逸脱乱用はない」と判断しました。

また、制度から除外されたことについても「過去に遡り法的地位を喪失、変更されたことにはならない」として泉佐野市の主張を退け、原告敗訴の判決を出しました。

当然のことながら泉佐野市は判決を不服とし、て上告し、最高裁で最終判断されることになりました。

最高裁の判決は、法的義務が生じる前の寄付金集めのやり方を理由に制度から除外したのは、新制度を定めた改正地方税法の趣旨を逸脱しているものであり、無効だと判断したものです。

ただし、最高裁は、泉佐野市のやり方についても苦言を呈しています。

判決主文には、以下のような記載があります。

確かに,泉佐野市は,多くの地方団体が自律的に返礼品の見直しを進める中で,返礼割合が高くかつ地場産品以外のものを含む返礼品の提供を続けた上,本件改正法が成立した後も,本件改正規定の施行直前までの予定で,キャンペーンと称し,従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして,返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり,このような本件不指定に至るまでの同市の返礼品の提供の態様は,社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである。

さらに、補足意見として林景一裁判官は、「上告人の勝訴となる結論にいささか居心地の悪さを覚えた」と述べ、居心地の悪さの理由をこのように述べています。

居心地の悪さの原因は,泉佐野市が,殊更に返礼品を強調する態様の寄附金の募集を,総務大臣からの再三の技術的な助言に他の地方団体がおおむね従っている中で推し進めた結果,集中的に多額の寄附金を受領していたことにある。特に,同市が本件改正法の成立後にも返礼割合を高めて募集を加速したことには,眉をひそめざるを得ない。また,ふるさと納税制度自体が,国家全体の税収の総額を増加させるものではなく,端的にいってゼロサムゲームであって,その中で,国と一部の地方団体の負担において他の地方団体への税収移転を図るものであるという,制度に内在する問題が,割り切れなさを増幅させている面もある。そして,その結果として,同市は,もはやふるさと納税制度から得られることが通常期待される水準を大きく上回る収入を得てしまっており,ある意味で制度の目的を過剰に達成してしまっているのだから,新たな制度の下で,他の地方団体と同じスタートラインに立って更なる税収移転を追求することを許されるべきではないのではないか,あるいは,少なくとも,追求することを許される必要はないのではないかという感覚を抱くことは,それほど不当なものだとは思われない。

したがって、泉佐野市のやり方が全面的に認められたというよりは、厳しく非難している一方で、ふるさと納税制度の問題点もあわせて指摘しています。

ただ、林裁判官は、こうも述べています。

本件改正規定の施行前においては,返礼品の内容や返礼割合を含む募集の態様について特段の法的規制がなく,寄附金をいかに増やすかについては,いわばアイディアの自由競争に委ねられており,泉佐野市は,そのような競争を,主務官庁の助言を無視して最大限追求したとはいえ,あくまでも法律の枠内にとどまる行動をとったにすぎないと評価できるため,主務官庁の目から見ればどれほど不適切に思えても,そのことの故に不利益な処分を行うことを当然には正当化できないからである。

結局法律的な観点から考えると、法的規制がないときの行動が気に入らないからといって、不利益な処分を課してよい理由にはならないという、極めて普通の結論になったのだと思います。

また、宮崎裕子裁判長も補足意見で、「そもそも寄附金と税という異質なものが制度の前提にある」と指摘しており、これはふるさと納税という制度に対して違和感があることの現れだと思っています。

判決の詳細はこちらでご覧いただけます。少し長いですが納得できる内容になっていると思いますので、興味のある方はぜひご覧ください。

最高裁判所判例集 事件番号 令和2(行ヒ)68 全文

判決確定後の動き

さて、処分の無効が確定すると、泉佐野市はすぐに動きます。

判決の翌日には、制度への早期復帰を求める要望書を大阪府に提出しました。

総務省は、判決を受けて制度参加を認める見通しと報じられていましたが、7月3日には正式に泉佐野市のほか、同様に除外されていた和歌山県高野町、佐賀県みやき町の3自治体をふるさと納税の対象団体として指定する決定を公表しました。

一方で、除外された4自治体のうち、静岡県小山町だけは今回の指定から外されました。

これは、小山町が地場産品基準違反も除外の理由だったことから、小山町から返礼品を見直すという申し出があれば、指定する方向で対応すると、高市早苗総務相が同日の記者会見で明らかにしました。
高市早苗総務相の記者会見概要(総務省ホームページ)

小山町だけが復帰できなかった理由とは?あの返礼品の復活は?

小山町のみが復帰が見送られた理由は、昨年6月の参加申請時に地場産品ではない返礼品が含まれていたからだそうです。

町によれば、参加申請時に返礼品のなかに全国展開して町内に工場がある飲食店などの商品券を加えていましたが、これが地場産品にみなされなかった可能性があるということです。

今後は、総務相の指摘を受けてから返礼品の見直しに着手するようですが、こちらもできる限り早く復帰できるように検討を進めるのではないでしょうか。

(参照:東京新聞

記事中に書かれていた「商品券」は、過去の返礼品から考えるとイエローハットおよびサーティワンの商品が該当するのではないかと思われます。

それが理由で復帰が認められなかったという話が本当なら、当時大人気だった二つの商品券の復活は限りなく難しいと思われます。

まとめ

新制度導入をめぐる特定自治体の不指定処分が、違法であることが確定したことにより、再び東京都を除く全自治体がふるさと納税の対象団体になることが確実となりました。

しかし、泉佐野市のこれまでのやり方が認められたわけではありません。

今後どのような形で復帰するのかを注視したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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